東京高等裁判所 昭和24年(新を)3202号 判決
記録を調査すると、原審第二回公判調書(昭和二十四年七月八日附)及び第三回公判調書(同月二十九日附)にはそれぞれ公判を開廷した裁判官は杉田宗三であるに拘らず、その調書にはいずれも裁判官目黒太郞が裁判所書記官補と共に署名捺印していることが認められるが、刑事訴訟規則第四十四条、第四十六条によれば、公判調書には開廷した裁判長又は裁判官が署名押印をすべき旨規定されているから、原審の右各公判調書は法令に違反したものであり、原審の訴訟手続はこの点について所論のとおり違法の瑕疵ありといわなければならない。しかし、右各公判調書の記載によれば、右二回の公判期日においては全然被告事件の審理をしないで、弁護人の請求により公判期日を延期したに過ぎないことが明らかであるから、原審の右訴訟手続上の法令違反は、判決に何等の影響をも及ぼさないものと認むべきである。従つて右の瑕疵は判決を破棄すべき理由とはならないから、論旨は結局理由ないものである。
同第三点について。
検察庁法によれば検察官とは検事総長、次長検事、検事長、検事及び副検事の総称であつて、そのいずれも官名に該当するものと解する。
故に原審公判調書及び判決書に、或は検察官と記載し、或は検事と記載しても、それはいずれも適法の記載であつて、何等法令に違反するものではない。論旨は理由がない。